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医 療 器 具 中 の フ タ ル 酸 エ ス テ ル

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業界フタル酸エステル・パネルの質疑応答集

A. いろんな用途と応用例について

1) フタル酸エステルとはどのようなもので、どのように使われているのか?

フタル酸エステル類は、ポリビニルクロライド(塩ビまたはビニル)と呼ばれる硬質プラスチックに加えられる植物油脂によく似た液体である。液体のフタル酸エステル類は、プラスチックを柔軟にする可塑剤として使用される。例えば、可塑剤が入っていない硬質塩ビは、排水用パイプや、住宅用サイディング材として利用される。可塑剤を添加すると、製品の用途は、玩具類、ワイヤ−やケ−ブル、フロ−リングやシャワ−・カ−テンなどに拡大する。塩ビは、その耐久性、低コストまた多目的性から、世界中で最も汎用されているプラスチックのひとつである。

2) なぜ、フタル酸エステルは医療器具に使われているのか?

医療器具メ−カ−は原材料を選定する時、デザインの自由度、費用対効果、最終製品の安全性、品質と性能など、多くの異なった要素を考慮している。フタル酸エステル類は、塩ビ製品がこれら要素全てにかなうことを可能にしている。これらユニ−クな可塑剤は、塩ビ製医療器具に、妥当な価格、耐久性、熱融着性、また透明性とガス透過性を付与している。これらのコンパウンドは、毒物学的また環境的見地から広範な試験も実施済みである。可塑化された塩ビは、医療器具メ−カ−、病院また医師たちに、耐久性、柔軟性があり、妥当な価格の広範な製品を提供しているのである。

3)どんなタイプの医療器具にフタル酸エステルが含まれているのか?

軟質塩ビ製医療器具には、容器類、保護チュ−ブ/成形物、および手袋といった三種類の基本的カテゴリ−がある。塩ビ製の医療用容器には、点滴用や輸液用容器、また溶液・薬剤および抗凝血剤に使われる柔軟性バッグが含まれる。軟質容器はまた、血液や血漿および尿の採取/保管に使われている。軟質チュ−ブの例としては、血液循環チュ−ブ、輸液用チュ−ブ、カテ−テルや気管内チュ−ブがある。フタル酸エステル類は塩ビ製手袋に、医師と患者を保護する引き裂き強度と耐久性を与える。軟質塩ビ製の手袋は、病院やその他治療施設の重大関心事である、伝染病や病原菌の拡散を防止する役割も果たしている。これら全ての医療製品は、病院が行う日々の医療と救命活動を支えている。

4) 軟質塩ビは、医療器具に使われる他のプラスチックとどう違っているのか?

軟質塩ビは、加工プロセスが他のプラスチックと異なっている。大抵の他のプラスチックは単一グレ−ドの材料であり、柔軟性、硬度、あるいは他の性質があまり変わらないものである。加工業者に納められたプラスチックは、成形加工することが出来るが、材料本来の特性を変えることは出来ない。それに引き替え塩ビは、もともとは硬質プラスチックであるが、加工工程でフタル酸エステル類を加えると、必要なレベルにまで素材を柔軟化出来る。この特性により、気管用チュ−ブには患者の気道に安全に挿入出来るだけの柔軟性が与えられるし、血液バッグには折りたためる性質を与え、生命に危険をもたらす空気の塊が血管に入るのを防いでいる。分かり易く言うと、フタル酸エステル類が、塩ビ製医療器具に大変な多機能性を与えているのである。

5) フタル酸エステルは、医療器具に適切に使用された場合、安全なのか?

安全である。現在までの最善の証拠に準拠し、フタル酸エステル・パネルは、フタル酸エステル類が塩ビ製医療器具に適切に用いられた場合、安全であり患者に何の危害も与えるものでないと確信している。フタル酸エステル類メ−カ−は、安全な製品を生産することを約束している。これら化合物は40年間も調査されテストされており、安全に使用することが出来る。フタル酸エステル類メ−カ−は、これら化合物に関して現在進行中の調査とテストを継続すると約束しており、またこれら製品を安全に使用し続けられるように、食品医薬品局(FDA)や別の政府機関と密接に協力していく方針である。

6) 軟質塩ビ製のバッグや容器から、フタル酸エステルは滲出するのか?滲出した物質は、血液に混入するのか?

私たちは、数種類の軟質塩ビ製医療器具から、患者の血流中にフタル酸エステル類が入ることを承知している。例えば、塩ビ製バッグは、この国で40年以上もの間、輸血用血液の貯蔵に使用されてきた。血液バッグから、微量の可塑剤が血液中に混入することは、よく知られている。たぶん、最も曝露される可能性が高いのは、軟質塩ビ製バッグや容器から、患者が薬液、輸液、全血輸血あるいは成分輸血を受ける時である。この可能性は、貯蔵と投与の間に、塩ビ製バッグ中の液体へ少量の可塑剤が移行し得るためである。液体に移行する可塑剤の量は、液体の性質、貯蔵期間、貯蔵温度と使われている可塑剤の種類によって決まる。しかしながら、腎臓病のため透析を受けている患者もそうであるが、フタレ−ト類はすぐに新陳代謝され、ヒトの体内から排出される。フタル酸エステル類は、40年間以上も調査・試験され安全に使われているが、ヒトの健康への悪影響を確認した報告は全く無く、可塑剤メ−カ−は、血液バッグや別の貯蔵用途を含む医療器具類に適切に使用された場合、可塑剤は安全であり、また患者に何の危害も与えないと確信している。

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B. 健康と安全性についての調査

1) フタル酸エステル類は、ヒトのガンの原因となるのか?

答えは、"No"である。フタル酸エステルメ−カ−は、フタル酸エステル類が、ヒトにガンを引き起こすことを示す検証された科学的根拠は何もないと確信している。数種類のフタレ−ト類は、実験動物に長期間多量に摂取させると、肝臓や腎臓ガンを引き起こす可能性があると報告されている。多数の報告によればげっ歯動物はフタル酸エステル類に対し極めて敏感であり、これら化合物の研究結果を短絡的にヒトに当てはめることは出来ない。例えば、げっ歯動物に見られるような肝臓ガンは、もっとヒトに近い他の哺乳動物(例えば、猿類)には見受けられない。ヒトと他の種では、物質の吸収摂取が大きく違っている。簡単に言えば、フタル酸エステル類の大量摂取はげっ歯動物の健康に危害を与えるが、現実の曝露レベルでそれら化合物が、ヒトの健康に危害を及ぼすことを示す検証された科学的証拠はなにひとつとして無い。私たちは、現在までの最善の証拠に準拠し、塩ビ製品に適切に使用されている場合、フタレ−ト類は安全であり、患者に危害を与えることはないと確信している。

2) 無所属の科学者は、ガンになる可能性について何と言っているのか?

無所属の科学者によって行われた最近の再調査では、DEHPが、ヒトにガンを引き起こす危険性はほとんどないと結論付けている [1]。 DEHPは、マウスやラットの肝臓細胞を増殖させる因子となることを意味する、"ペルオキシソ−ム増殖剤"として知られている。もし、ラットやマウスが、長期間大量のペルオキシソ−ム増殖剤に曝露されると、肝臓細胞の変化は結局ガン形成につながる。ペルオキシソ−ム増殖剤は、ヒトではげっ歯動物と同じように作用することはない。最近、The Journal of Regulatory Toxicology and Pharmacologyに発表された論文には、1995年12月に国際生命科学協会(ILSI)が組織した国際シンポジウム、とくにペルオキシソ−ム増殖剤が、ヒトを肝臓ガンにする危険性があるかどうか検討するシンポジウムについて要約されている [2]。このシンポジウムにはこの分野で最先端の研究を行っている米国や欧州の研究者を含めて、政府機関、学界や工業界から約100人の科学者が集まった。その論文には、"極端な曝露条件下での発ガンポテンシャルは除外出来なかったが、ヒトが置かれると予想される条件下と曝露量では、ペルオキシソ−ム増殖剤がヒトに対して発ガン性があるとは考え難いという結論に至った。"と述べられている [3]。 本論文の、米国EPAの科学者が記述した独立した章には、"これらの因子[ペルオキシソ−ム増殖剤]が、ヒトの肝臓に発ガン性があることを示した証拠は全くない。....これらのペルオキシソ−ム増殖剤、つまりげっ歯動物の肝臓ガン誘発物質は、ヒトに予想される曝露レベルでヒトの肝臓に発ガン性を示すとは極めて考え難い。...."と述べられている [4]

3) ガンになる危険性について、政府機関は何といっているのか?

カナダとEU委員会は、DEHPをヒトに対する発ガン性物質として規制してはならないと結論を出している。カナダの保健局は、DEHPを"ヒトに対しおそらく発ガン性が無い物質"に分類している [5]。 EU委員会の正式決定文書には、DEHPは"発ガン性または刺激性物質と分類したりラベルに記載したりすべきでない。"と記述されている [6]。 世界保健機関(WHO)の環境保健規準ではDEHPについて次のように結論付けている。"現時点では、DEHPがヒトに対し発ガン性を持つ物質であることを示す充分な証拠は存在しない" [7]

4) 米国EPAの発ガン性の分類ではどうなのか?

米国環境保護庁(EPA)は、10年以上も前に行った、DEHPの発ガン性分類("ヒトに対しておそらく発ガン性がある物質")を公式には再評価してはいない。しかしEPAは、さまざまな評議会で、DEHPによりげっ歯動物に誘発されたガンが、ヒトのガンと関係があることは疑問であると認めてきた。たとえば、米国EPAは別の化合物の評価の中で次のように述べている。"ヒトの肝臓細胞は、ペルオキシソ−ム増殖剤による誘発に耐性があり、ペルオキシソ−ム増殖剤によって誘発されるげっ歯動物の肝臓ガンが、ヒトでも起こることは疑わしい" [8]。同様に、米国EPAは、米国厚生省の毒性物質プログラム対する文書で次のように述べている。"ジエチルヘキシルフタレ−ト[DEHP]は、ヒトには存在しない代謝プロセスで、ガンを発生させる可能性がある" [9]。 またすでに引用したが、1995年のペルオキシソ−ム増殖剤に関するシンポジウムで、米国EPA所属の科学者が次のように結論付けている。"これらのペルオキシソ−ム増殖剤、つまりげっ歯動物の肝臓ガン誘発物質は、ヒトに予想される曝露レベルで、ヒトの肝臓に発ガン性を示すとは極めて考え難い。"

5) 透析治療患者や救急医療を受けている患者は、長期間フタル酸エステルに曝露されることになる塩ビ製医療器具を使用して危険ではないのか?

これまでの調査から、医療器具からのフタル酸エステルへの曝露が、透析治療患者の健康に危害を与えていないことが明らかにされている。医療器具に用いられている主要なフタル酸エステルである、ジ(2−エチルヘキシル)フタレ−ト(DEHP)は、患者に危害を及ぼすと確認された報告書が何も出されたことが無く、40年以上も使われてきた。事実、最悪のシナリオでの曝露をも含む、500例以上の報告を再検討した、1996年に発表された無所属の機関によるDEHPのリスクアセスメントは、最大限のレベルでDEHPへの曝露を受けた患者でも、それが原因でガンになる恐れは極めて考え難いと結論している。

6)フタル酸エステルはヒトの生殖や発生に問題を引き起こしているのか?

霊長類にDEHPを長期間、高用量で摂取させ続けた研究では、生殖器官に損傷を与えることはなかった。ラットやマウスの研究では、妊娠中のある期間にDEHPを高用量で摂取させると、悪影響が出る可能性がある。ひとつの種に発生や生殖毒性が認められても、全く同じあるいは関連する毒性が別の種で起こるとはいえない。例えば、ハムスタ−でラットやマウスと同じ研究を行っても、こういった影響は現れなかったし、妊娠したウサギに、静脈からDEHPを投与する試験を行っても、胎児や発達中の子孫に影響は無かった。それにまた、実験動物で見られる影響が、ヒトでは見られないことを示す証拠はたくさんある。この情報は要約され監督官庁に提供されており、軟質塩ビ製品の生産・製造仕様書に取り入れられている。

7) 内分泌攪乱の仮説とは、どういうものか?

内分泌攪乱の仮説は、いくつかの化学物質に少量曝露された環境にいると、内分泌機構に干渉を受けヒトや野生動物に有害な影響がでる可能性があると、主張しているものである。

8) なぜフタレ−ト類は、内分泌攪乱作用を起こす可能性がある物質として頻繁にリストアップされるのか?

最近、DEHPを含むフタレ−ト類が、体内でエストロゲン類似物質として働くという主張がなされるようになってきた。フタル酸エステル・パネルは、フタル酸エステル類にエストロゲン活性があるかどうか試験し、DEHPがエストロゲンのような作用を持たないことを立証している。付け加えると、フタル酸エステル類は40年以上も使用され続けており、これら化合物がヒトの健康に有害な影響を与えることを立証した科学的証拠は全く存在しない。フタル酸エステル類について特定の動物の実験で認められた影響を根拠として、数種類のフタレ−ト類が、内分泌攪乱物質のリストに含まれるようになった。しかしながらその後、DEHPがエストロゲン活性を示すかどうか試験が行われ、DEHPはエストロゲンのような活性がないと結論が出ている。

9) フタレ−ト類はエストロゲン活性があるかどうか、どのようにして試験したのか?

試験方法には、メスのラットを用いたふたつの検定法が使用された。そのひとつは、フタル酸エステル類に対する子宮の反応を見るもの(子宮増殖性試験法)である。もうひとつは、天然のエストロゲンが発情周期を誘導する作用を、これら化合物が模倣する可能性について見るもの(膣上皮細胞の角質化試験法)である。
ふたつの試験方法で、フタル酸エステル類の活性が、エストラジオ−ル(天然のエストロゲン)の活性と比較された。子宮の湿重量と膣細胞角質化のモニタ−で測定されたエストロゲン活性を誘発したものは、試験されたフタル酸エステル中にはひとつも無かった。それに加えて、フタレ−トエステル類やそれらの代謝分解物質が、ヒトのエストロゲン受容体を使った細胞培養システムでスクリ−ニングされた。DEHPは、高濃度での細胞培養試験で、エストロゲン−受容体活性をほとんどあるいは全く示さなかった。その上動物実験では、エストロゲン効果は全く認められていない。この研究は、1998年12月に出版されたピ−アレビューされている学術雑誌であるToxicological Science誌に発表された[10]

10)フタレ−ト類について表明された懸念に対処するため、産業界はどんなことをしているのか?

産業界は進行中の調査や、内分泌攪乱物質のような問題を調べる新しい研究の企画を大々的に推進しており、一方ではその結果を幅広く公表すると確約している。特にフタル酸エステル・パネルは、フタル酸エステルに関する調査を継続的に行い、別の新しい科学的調査を直ちにモニターしている。付け加えると、私たちはフタレ−ト類への曝露濃度を測定するための、妥当な標準的測定方法の提供を援助するために、国際的組織と協力している。フタル酸エステルメ−カ−は調査や試験の続行を約束しており、だからこそこれら化合物は医療器具を含む塩ビ製品に安全に使われ続けているのである。

11) フタル酸エステル・パネルとはどんなものか?

化学工業連盟(CMA)のフタル酸エステル・パネルは、フタル酸エステル類の生産や使用に係わる安全性や健康および環境問題に関して、フタル酸エステルメ−カ−の代表として1973年に設立された。このパネルは、これらの化合物を評価するため、広範な試験および調査を実施している。

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参考文献:

[1] Lake, B.G. (1995). Mechanisms of Hepatocarcinogenicity of Peroxisome-Proliferating Drugs and Chemicals. Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 35:483-507; Huber, W.W., Grasl-Kraupp, B., and Schulte-Herman, R. (1996). Hepatocarcinogenic Potential of Di(2-ethylhexyl) Phthalate in Rodents and Its Implications on Human Risk. Crit. Rev. Toxicol. 26:365-481. Additional information is provided in an overview document prepared by the Chemical Manufacturers Association Phthalate Esters Panel entitled, "THE CURRENT RESEARCH INDICATES THAT DEHP IN VINYL DOES NOT POSE A HUMAN CANCER HAZARD," (February 19, 1999).
[2] Cattley, R.C., DeLuca, J., Elcombe, C., et al. (1998). Do Peroxisome Proliferating Compounds Pose a Hepatocarcinogenic Hazard to Humans? Reg. Toxicol. Pharmacol. 27:47-60.
[3] Id. at 57.
[4] Id. at 55-56.
[5] Health Canada (undated), Priority Substances List Assessment Report: Bis(2-ethylhexyl) Phthalate, 26.
[6] Commission Decision of 25 July 1990 on the classification and labelling of Di(2-ethylhexyl)phthalate in accordance with Article 23 of Council Directive 67/548/EEC, Official Journal of the European Communities No. L 222/49 (Aug. 17, 1990).
[7] WHO (1992). Environmental Health Criteria 131: Diethylhexyl Phthalate. International Programme on Chemical Safety, page 18.
[8] 60 Fed. Reg. 39132 (Aug. 1, 1995).
[9] Letter from Victor Kimm, Deputy Director, OPPTS, and William Farland, Director, OHEA, ORD, to Kenneth Olden, Director, NTP (June 9, 1992).
[10] Critical Reviews in Toxicology 26:368-371

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